木造聖観音立像(国指定重要文化財)
安居寺の本尊です。寺を開いたインドの僧:善無畏(ぜんむい)三蔵が携えてきた仏像と伝えられています。仏像は、宝冠・腕輪・イヤリングなどの装身具や天衣・裳(もすそ)のひだまで量感豊かにカヤ材の一木から造られています。イヤリングをした仏像は国内でも珍しい形式です。平安時代の初期の作(安居寺の開基と年代が合いません・・・)で秘仏として33年に一度ご開帳されます(なお毎年10月18日に虫干しの際に収蔵庫が開扉され仏像の拝観が可能)。観音堂後方の収蔵庫に保管されています。
安居寺観音堂(富山県指定文化財)
本尊の聖観音像(国指定重要文化財)を安置するためのお堂です。七間四方の単層入母屋造りで、禅寺風の様式になっています。慶長年間(1596~1615年)に加賀藩の重臣・岡嶋備中守の夫人・月清大姉の寄進によって建てられました。現在の建物は、1766年(明和3年)に再建されたものです。昭和61年に大修理が行われました。
石造地蔵菩薩半跏像(富山県指定文化財)
凝灰岩様の目の細かい石に刻まれています。左足を折り曲げ、右足を踏み下げた姿勢で左手に宝珠、右手に錫杖(しゃくじょう)を持って台座に腰掛けた姿です。鎌倉時代の作品です。砺波地方にこの像をモデルとした仏像が多く残されています。収蔵庫に保管されています。
木造聖観世音菩薩立像(富山県指定文化財)
秘仏として厨子(ずし)に納めれている本尊の代わり、普段はこの仏像が厨子の前に立てられ信仰されていたため「お前立」とも呼ばれていました。本尊に似せた写しの仏像で、一木作りの鎌倉時代の作品です。富山県内の同時期の観音像としては、最も優れた仏像の一つとされています。収蔵庫に保管されています。
安居寺の絵馬(富山県指定文化財)
観音堂内に掲げられています。縦1.8m×横2.3mの板戸3枚に勇壮な馬が描かれ、余白には金箔が押されています。桃山時代の作品で、狩野永徳・三楽師弟が描いたものと伝えられています。カマチに戸車がついており、元々は京都聚楽第の戸で、1622年(元和8年)に加賀三代目藩主前田利常が夫人・天徳院の安産を祈願して奉納したと伝えられています。また、絵から馬が抜け出して近隣の田畑を荒らし悪さをするので綱を描き加えたと伝承されています。
木造見返阿弥陀如来立像(富山県指定文化財)
身体の動きは少なく、袈裟の端や両足は静止の状態を保った像です。桧材の寄木造りで室町時代の作品です。極楽浄土へと導く途中の衆生を気遣い、わずかに後方を振り返る姿の阿弥陀如来像です。この形式は、全国的に見ても珍しく数体しか知られていません。本堂内に安置されています。
安居寺の慶長4年在銘石燈籠
富山県内に現存する最古の年号を持つ石燈籠です。豊臣秀吉の朝鮮侵攻の際、前田利常に従った加賀藩の重臣・岡嶋備中守一吉が1599年(慶長4年)に寄進したものです。朝鮮渡来の石で作ったと伝えられています。基礎は6角形、竿の部分は胴にふくらみを持ち、銘文が刻まれています。笠の下部が失われているため、軒先の構造が不明です。総高2.5mあります。当初は、観音堂の正面に設置されていたようですが、現在は庫裏の庭に設置されています。
以下は、南砺市指定文化財
安居寺仁王門:入母屋桟瓦葺き。二間一戸の楼門です。1772年(明和9年)に再建されたものです。
安居寺古仁王立像:本堂前の山門に安置されています。1615年(慶長20年)の作です。総丈約3.3mあります。
安居寺鰐口:1659年(万治2年)の作です。現存する在銘の高岡鋳物として最古の鉄製鋳造品として知られています。
慶長在銘彩色絵馬:富山県内最古の在銘絵馬です。1611年(慶長16年)銘の騎馬武者絵と、同17年銘の曳き絵馬の2枚が保存されています。
安居寺古文書:加賀藩祈願所として篤く信仰され、加賀藩主や重臣の文書が多く残されています。
伝 長慶天皇御陵:2m四方の中世方形墳墓です。南北朝時代の第98代、南朝第3代天皇です。在位:1368年(正平23年/応安元年)~1383年(弘和3年)
江戸時代から即位の事実が疑問視されていた天皇で、1926年(大正10年)に勅書が出され正式に98代天皇として皇統に加えられました。学術的には、京都市右京区嵯峨天竜寺角倉町にある嵯峨東陵(さがのひがしのみささぎ)に埋葬されたとされています。
地蔵林:インドの僧:善無畏三蔵がこの地で3ヶ月間 安居(あんご、修行)したと伝えられています。安居寺発祥の地とされています。
大ケヤキ:高さ36m、幹周り7.6mです。樹齢は、約500年です。
アベマキ林:北陸地方で自生するのは珍しいです。